都市美

「都市美」という本を買った。西村幸夫氏編著。
序説で、“自然の美も都市の美も「発見」されるものだ”という主張があり
その実例として16世紀から17世紀にかけてのオランダ風景画が挙げられていたので
期待して買ってしまった。
「見られるものとしての都市」の発見の歴史をひもといてくれる本かと早合点してしまったのだ。
結果はちょっと期待はずれ。バラバラに書かれた論文の寄せ集めみたい。

目次

序説 都市美の思想史 
第1章 イタリアの都市美ルネサンス 
第2章 フランスの「都市の美化」理念の萌芽と発展 
第3章 フランスの都市美保全施策の誕生と昇華 
第4章 ドイツの国土美化と郷土保護思想 
第5章 ドイツの都市条例 
第6章 イギリス田園都市の都市美思想とアメニティ 
第7章 ベルギーの都市美運動 
第8章 スペインの都市美思潮とバルセロナでの展開 
第9章 アメリカのシティ・ビューティフル運動 
第10章 アメリカの建築条例の起源と都市美 
第11章 アメリカのニューアーバニズムが創造する都市美理念 
第12章 日本の都市美運動 
第13章 日本における風景認識の変遷 
第14章 日本における都市美創出のこころみ

ひとつひとつは興味あるテーマなんだけど文章がかたくて読みにくい。
「読んでください」って文章じゃない。
だからほとんど読んでない。いつか読むかもしれないけど。

唯一興味深く読めたのが "第13章 日本における風景認識の変遷" 下村彰男氏の書いたところ。

ちょっと引用。
"人々の暮らしをを感じさせる生活景の美しさ(魅力)は、人為の加わってない原生自然の風景のそれとは性格が大きく異なっている。後者の美しさが、風景の視覚像自身のスケールや形態の中に資源性を見出すものであるのに対し、日頃見慣れてる生活景の美しさとは、風景の視覚像そのものではなく、後述するように、風景を支える人々の暮らしと地域の環境との良好さの中に見ているのではないか。(p228)"

日本における生活景の美しさが最近「発見」されてきている。という文脈での文章です。
その具体例として、農山村や下町の写真集が売れていることを挙げている。

いい指摘だと思うんだけど、時代はもっと進んでるんじゃないかな。
下町とか農村みたいな「あったかい」風景だけじゃなくて、
「つめたい」都会の風景だって「カッコイー」って評価する動きが出てるんじゃないのかな。

その例として思い浮かぶのが
ホンマタカシ氏が撮った「ニュートーキョースタンダード」という写真集。
2002年11月のSTUDIO VOICE誌の「東京100景」特集。
流行通信でもたしか「東京を撮る」みたいな連載やてたし、
東京に代表される「都会」を被写体として再評価しようっていう動きは確実にあると思うし
そういう「今ある」「今実際に生活している」風景に美を見出すこと、美を主張することが
日本の都市を美しくしていく上で重要だと思う。

西欧先進諸国とか言ってちゃ古いんですよ。
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by antliondiary | 2005-07-23 22:05


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