ある種の歪んだ権力について考えている。
その権力の下では人目につく大きな石が突然道端に現れても、存在しないものとして扱われる。 その石は誰の目にも明らかにそこの人たちの生活を少しだけ不便にしているのだけど、でもそれについて誰も言及しない。 その石は以前からそこにあって、そこの人たちと生活を共にしてきたような顔をしていて、 その石について何か言葉を発する事は、語り手をとても愚かしく見せる行為のように思われる。 そこに、その石について語る事を阻むようないかなる法律も規則も存在しない。 ただちょっとマナー違反だったりお行儀のよくない事だったり、あまり賢くない無意味な行為だと思われているだけだ。 その石の存在を声高に叫ぼうとする者は、ちょっとした不利益を覚悟しなければならないかもしれないが、 その石と同じように黙殺される可能性も高いだろう。 そこの法律や規則は整然として美しく、 そのひとつひとつの言葉には、一読しただけでは想像もつかないようなアクロバティックな解釈が埋め込まれている。 そのアクロバティックな解釈のおかげで、たとえば「日本には軍隊は存在しません。」といった言葉にもなんの違和感も罪悪感も介在しない事とされている。 そこには外からのお客さんも時折見えるのだけれど、そのほとんどは観光客で 文化や慣習の違いにただただ驚き、それをつかの間楽しんで帰ってゆくだけだ。 大きなな石の存在も、それの文化的な不在も、カルチャーショックの中に紛れてしまう。 大きな組織の中での不祥事のほとんどは、この大きな石のようなものなんじゃないかと思う。 最近騒がれている、賞味期限の偽装問題も、 脱税や、新聞社の嘘の報道もだ。 この大きな石と無縁な場所は希有で、有り難く、きっととても脆いのだろうけど それは確実に存在し(私はその存在をたぶん知っている)、守り続ける事は不可能ではなく、 私はそんな場所で生きていきたいと思っている。 その、希有な、守られた場所の存在は きっと大きな石を見つけたときに声を発する力となるんだ。
by antliondiary
| 2007-11-03 06:16
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